#12 筋トレ=とにかく身体を大きくするものという概念を卒業しよう 前半

時代と共に変わっていった筋トレ

目次

  • はじめに
  • 時代と共に変わっていった筋トレ
  • まとめ

はじめに

今回は筋トレについてお話をしていきたいと思います。

皆さんは筋トレと聞くとどのようなイメージが湧きますか? ボディビルダーのような筋骨隆々の身体を作ることという印象が強いでしょうか?

私はトレーナーとして仕事をしているなかで、「筋トレをしてマッチョになりすぎるのがいやだ」という意見や「筋トレをして筋肉をつけすぎて動きが悪くなるのはよくないから筋トレはしない」という意見を何度も聞くことがございました。

ですが、実はこれは大きな誤解です。

結論から言うと筋トレの効果は単に身体を大きくするものにとどまらず、適切に取り入れることでスポーツパフォーマンス向上はもちろんのこと、健康のためにも非常におすすめです。

時代と共に変わっていった筋トレ

筋力トレーニングには実はブームというものが存在しています。

1970年代:ボディビル時代

1980年代:パワーリフティング時代 

1990年代:ウエイトリフティング時代

2000年以降:パフォーマンスエンハンスメント時代

筋力トレーニングをスポーツパフォーマンス向上に使用する上で、世界中のトレーナーたちの間では上記のようなブームが存在しました。

ボディビル時代は、まさしくどのようにして筋肉を付けて身体を大きくするかということに注目が集まった時代です。

ですが、各身体のパーツを鍛えて筋肉をつけてもパフォーマンスが上がらないということが課題となりました。「単に筋肉をつけるだけではだめ」ということです。

そこで、次に注目されたのがパワーリフティング。

エクササイズで言うと「スクワット」「デッドリフト」「ベンチプレス」です。各パーツを細かく分けて鍛えるよりも先に、なるべく全身の筋肉を沢山動員して高い筋力を発揮するエクササイズをするべきではないかと注目されるようになりました。

ですが、ここでも筋力は向上してもパフォーマンスが向上しないという事が課題となりました。「筋力は向上したがパワー(スピードを伴って筋力を発揮すること)が足りない」ということです。

次に注目を集めたのがウエイトリフティング。

オリンピック競技にもなっているので、テレビで見たことがある方も多いかと思いますが、床から重いバーベルを素早く持ち上げてキャッチするという競技です。

ウエイトリフティング自体は競技なので、トレーニングとしては「クイックリフト」というエクササイズの分類になります。代表的なものが「クリーン」「スナッチ」「ジャーク」というエクササイズです。

これらはパワーを鍛えるのに非常に有効なエクササイズとして現在は広く取り入れられています。

ここまでをまとめると

「筋肉をつけること」に注目が集まる

「筋力を高めること」に注目が集まる

「パワーを高めること」に注目が集まる

というように変化していきました。

陸上競技や自転車競技のように身体能力が競技パフォーマンスを占める割合が高い競技の場合、パワーを高めるところまでできるとパフォーマンスを高めることにつながる可能性が高いです。

また、ラグビーやアメフトのように大きなパワーを必要とする競技も同様にパフォーマンス向上につながりやすいです。

しかし、パワーを高めてもスポーツパフォーマンス向上に繋がらない場合も多いという競技も多数あります。それはテニス、サッカー、バスケ、バレーボールのような球技スポーツです。これらの球技は動作が非常に複雑なため、パワーを高めても、肝心の動作自体が向上せずパフォーマンスも向上しないということも多々あります。

そこで次に注目を集めたのが「動きを鍛える」という考え方です。

次回はその考え方についてお話していきたいと思います。

まとめ

スポーツパフォーマンスを高めるために、筋トレは非常に有効ですが、その内容は時代と共に大きく変化していきました。

誤解してほしくないので断っておきますが、ここまでで上げたボディビル、パワーリフティング、ウエイトリフティングを参考にしたトレーニングが古い、もしくは効果がないということでは全くございません。また、それらの競技を批判しているわけでもございません。

これらのトレーニングは現在でも世界中で取り入れられており、非常に有効です。しかし、人体は非常に複雑であり、スポーツも同じく非常に複雑です。そのためこれらの要素だけでは足りないということが課題となり、必要なトレーニング要素が増えていったと思っていただけますと幸いです。